1999年6月26日(土) オヴァ!仏蘭西

いよいよ日本へ戻る日が来た。今朝が昨日までの朝と決定的に違うのは、 もう今夜の寝床を探さなくていい ということだ。いつも朝起きると、その夜泊まるホテルをどこに しようか、そこからどこへ行こうかと心配していたのだが、それが今朝は考えなくても よいのだ。今晩は機内泊、そして明晩は たぶん自宅の布団で寝ているのだろう。そう考えると少し 不思議 な、そして少し残念な気がした。昨日までの、あのつらい毎日がなんだか 急にいとおしく思えてきた。しかしともかく、日本へ戻るのだ。そのための理由も、 ちゃんと昨日までに用意できたのだから。

飛行機はCDGを20:10発のJALである。時間の余裕はかなりあるし、JALゆえオーバーブッキング の心配もそうないだろう。最終日の今日はお土産を買うことに決め、 最後のプチホテルを後にした。朝の日差しが気持ちいい。シテ島を出てまず フォーロム・デ・アール へ。でも朝早いからお店開いてるかな?と思い、 少し街を散策して時間をつぶすことにした。ほどなく裏露地で何だか 不審 なトラック発見。 奇抜な格好 で、荷台に飾り付けをしている人たちがいる。パレードかお祭りかあるのかな? 今日は土曜日 だしな、と一瞬思ったが、それは日本の感覚で、パリでは土曜日だろうが何曜日 だろうがそんなことは関係ない ことを思い出し一人クスクス笑った。フランスとはそういう国なのだ。 ぶらぶらしているうちにフォーロムに到着。かつてはパリの 胃袋と云われたレ・アール(中央市場)があったそうだが、今ではこの近代的な総合ショッ ピングセンターになっている。フランスにも抗えない時代の流れがあるのかと思い つつ、今日はオノボリさんになって買物を楽しむことにした。 何しろもう荷物が増えても構わないのだから!

ミカドポッキー。欧州に広し 土産を買う、というのは日本人の大きな文化であり、民俗学の研究対象に充分なると思うけど、 僕の場合土産屋で土産を買うことは殆どない。どれもワザトラシイからだ。 その土地の人たちが使ったり口にしないような「作られたもの」を買ってもあまり土産にはならないと思って いる。だから僕がもっぱら利用するのは、近所のスーパーとか 本屋CD屋だ。例えば同じグリコのポッキーでも、 フランスではMIKADOという名で売られている(本当)。なぜミカドなのか!? これだけでも面白い土産である。しかもその日はスーパーの特売日で、 フランスの主婦たちと競いながら、チーズやらビスケットやら、 かなり安い値段で大量の土産をゲットすることが できた。さらに不幸なことにパスタが異常に特売なのが 目に入ってしまい、 つい数キロ買ってしまった。主夫のサガではあるが、 こんなの日本で買えって。もうすでに鞄が重くなり始めている。ヤバイ。 それから土産には本屋も見逃せない。外国語であっても、特に 幼児向けの本はカラフルで奇麗、そして安くて楽しい。あんまり買いすぎると重いけど、これも外国土産に グーだ。あと狙い目なのはその国の言語と日本語との辞書 。日本ではこういう辞書は高いけど、あちらでは結構 安かったりする。それとか、その国の言語と英語との辞書も日本では売ってなくてオススメ。 今回は『ウォーリーを探せ』のフランス語版と、生物学の絵本 を買った。あとは自分の土産(笑)のためにCD屋へ、日本では手に入らない珍盤 を探す。今回は日本の 尺八奏者・山本邦山がスペインでレコーディングした盤の輸入版(解説はスペイン語/英語)など数枚を買った。 我ながらワールドワイドな買物だと思う(^_^;

そんなわけで、今日一日でシャンゼリゼ通りを何往復も何往復も した。しかも例の旅癖から全て徒歩。鞄がマジで重く、再び肩が抜けそう になったが、何とも一つ困ったことがあった。それは例えばフナックとかヴァージンに入ると 鞄が絶対鳴るのである。あの万引き防止のブザーである。 入口に待ち構えるコワもての黒人さんたちが一斉に 寄って来るのだが、これがかなり恐い。そして かなり恥ずかしい。あわわわと半べそ かく私を哀れんで許してくれるが、仮面ライダーショーでショッカーたちに一斉に飛び掛かられた思い出 が走馬灯のように再び蘇る。買物のほか にもまだ時間があったので、エッフェル塔近くの人類博物館にも行ってみ た。料金は30F。実はカルト・ミュゼが使えないので昨日は行かなかったのだ(^_^; ここは大阪にある みんぱく(国立民族学博物館)に近いが、民族学以外の(形質)人類学的な展示、出産や死亡と いった展示として難しいものもあり、勉強にはなったがパネル中心だったのはやっぱりなと思った。 また、フランスでは 珍しく撮影が禁止されていたのは残念だった(でも職員さんは親切でした)。

一日中歩き回ってさすがに疲れた。荷物の重さも限界である。鞄を抱えてシャンゼリゼをボーっと眺めていると、 朝見た装飾トラックが、ピエロを載せてゆっくり通り過ぎていった。 荷台からこちらに向かって手を振りながら。お約束というか、きちんきちんと基本は踏むというか、もう、本当に この国にはお手上げである。そうして笑って少し元気が出た。生きるヒントももらった、 博物館も見た、エコミュゼも訪ねた、土産も買った、もう思い残すことはない。・・・・・・・・・・・・よし、空港へ行くか!

オヴァ、仏蘭西デ・アール。