演奏後記 2010年演奏後記、再開します。これからは演奏以外の雑記なども気が向いたら掲載しようか、と思ってます。 マメに更新はたぶん無理だと思いますが、宜しくお願い致します! チケットのご注文やお問い合わせは後藤 monogurui5015@yahoo.co.jp までメールお願いいたします。 2002年 2005年 2006年 2007年 2009年 2010年 書く書くといいながらかなり長いこと更新しなかった演奏後記。筆無精、パソコン無精 というのもあるが、きちんと報告を書こうという真面目な態度が(?)かえって更新から気 持ちを遠ざけている(…)のだと思った(!?)。掃除を始めると、とことんやってしまうので それを想像すると面倒臭くなり、結局やらずに部屋が汚れるのと似たようなものだろうか(笑)。 都合の良い言い訳は置いといて、これからは気軽に報告なり日記風の文章などを載せ ていこうと思ってます。 ![]() 昨年の初夏、秋、に続いて3回目となる熊本市・泰巌寺さんでの精進料理・お酒・琵琶 のライヴ。今年は5月16日、自分の誕生日の明くる日、50歳になりたての演奏を聞いて 頂くことになった。 昨年までは誕生日などほとんど意識しなかったが、さすがに50歳と なると…。琵琶そのもの、演奏にかんしてもさまざまな側面で認識を改めなければいけな いことが出て来てある意味、初心から再開、という感じだ。演奏は他人との競争や争いと は違うので 、自分の課題とじっくり向き合ってお客さんに楽しんで頂けるようにして行き たい。
ライヴのメインにしたのは明治時代の詩人、北村透谷の作品“蓬莱曲”の一部に 節付けしたもの(5月16日は透谷の命日)。詩劇、という体裁の長い作品で、現世と自己 の内面との間での葛藤を抱え、琵琶をたずさえ遊行者となった主人公の苦悩が非常に生々 しく伝わって来る。主人公は霊山と言われ る蓬莱山に登るが、そこは神ではなく現世的・処世的な論理の支配者である大魔王の世界 となってしまっており、その魔王との壮絶なやりとりがあったり、亡くなった恋人が精霊 となり登場したりと、物語的、思想的にもかなりいろんな要素が複雑に反映されている。 ![]() 私の解釈では追っ付かない部分も多いが、今回は“第二齣・第一場〜蓬莱原の一”の冒 頭場面での、琵琶が自分にとっていかにかけがえの無いものかが語られる部分に節を付け てみた。“これなるかな、これなるかな、この琵琶よ”から“朋友(とも)なり分半者(つれ) となる者や無からん”までだ。“朽ち行き、廃れはつる味気無き世に/ほろびの身、塵の身 を、あはれと/音に慰むるもの”とか、“ひとり寝の、眠りの成らぬ/暗の世に、覚めなが ら切歯(はぎし)る苦悩(なやみ)も/起き出でゝこの琵琶を取り上げ、/切々と揚げて弾けば 、隠るゝ悲しみ湧き上がり〜”とか、“世の人の様々の狂いの業にも/この琵琶やわれを定 め にき”など、疎ましい世の中と対峙するための重要な武器としての琵琶が浮かび上がって くる。武器、と言うと大袈裟だが明治時代の詩でありながら印象としては、なんだか反体 制(…苦笑)的なロックやジャズの匂いも漂う。ジミ・ヘンドリクスがギターを弾いている イメージとかジョン・コルトレインが熱く(熱苦しく?)サックスを吹いている様子ともつな がりそうな…。 まあ、これは私の勝手で下世話な思い付きの1つでし かないが、琵琶に何か特別な力が与えられているのは間違いないだろう。もう1つ面白か ったのは、江戸時代以来の薩摩琵琶の節の展開に内容が呼応している感じがしたことで、 節付けじたいはとてもやりやすかった(私の実際の演奏は置いといて)。明治25年の作品だ からまだ新しい琵琶の流派はほとんど無く、透谷の音のイメージにも盲僧琵琶的なニュア ンスまで含んだ古風な薩摩琵琶があったのかもしれない。 これをやるのは今回3回目で、やっと詩も暗記(5月8日の国境の 南のライヴでは最後の最後、1カ所で詩が飛び、お聞きのみなさまにご迷惑かけました)。 最初は某研究会で、兵藤裕己先生が透谷にかんして発表された際に演奏させて頂いた。貴 重なレパートリーになったので感謝・感謝だ。 さて、ライヴそのものは今までで一番 お客様にも来て頂き大変ありがたかった。ご住職には毎回大好評の料理を出していただき (こちらがメインかも)、barヤズーの御夫妻には情宣その他で大変お世話になっている。 いつもありがとうございます<(_ _)>。
![]() 5月12日(水)は大分県・杵築市 の岩田さん宅で“みつのねライヴVol.14”。呼んで頂くのは3回目で、今回はいつもの相 方・小濱明人氏(尺八)、そして池上眞吾氏(琴、胡弓)とのトリオ演奏。池上氏とは2008年 のニューヨーク、ロスアンゼルス公演で初めて共演した。あの時のスタンディング・オベ イションを思い出しつつ…という感じで、一度ラチエン通りでリハーサルをやり(???)、 これはイケる行ける!と思ったらホントにイケた演奏が出来た。
後藤・小 濱デュオの持ち曲が中心だったが、琴、胡弓の参入で違った局面がかなり増え演奏も膨ら んだのではと思う。お前らがそう思うだけだろう、と言われそうだが、お客様にも好評を 頂いたし、主催の岩田さんにも是非新ユニットで、と言って頂いたのでその通り、次の機 会を探っている最中だ。池上氏主導の曲も是非やりたい。しかし呼んでいただくたびに、 岩田さんの綿密な準備、お客様への対応、ミュージシャンへのケアなど頭が下がる思いだ 。奥様の料理もいつも美味しく、つい秘訣を聞いてしまう。終演後のお客様との飲み会も 楽しみのひとつ。 今回は国東市在住の造形作家・中野マーク周作氏(19歳)の作品 も展示。鬼が各種和楽器を弾いている作品が我々にとっては殊更愛おしかったが、なんと 我々トリオ編成の人形!を記念にいただいた。写真はそれです。
![]() みつのね、の明くる日、5月14日は小倉のライヴ・ハウス“オレンジ・ハート”で尺八の 山崎箜山氏とジョイント・ライヴ。“九州を奏でる”というタイトルで頻繁にやっていた が、ここしばらく間が空いていてほぼ5年ぶりとなる。今回も“九州を奏でる”のタイト ルで、九州にちなんだ曲を中心に演奏。久々に箜山氏の温かみのある尺八を堪能させて頂 いた。以前に北九州でいっしょにやっていたベースのフクヤマワタル氏にも聞きにきて頂 き、また皆で共演しましょうということに。北九州は好きな街だし、ミュージシャンのレ ベルも高いので楽しみだ。ライヴ写真をとりそこなったので、写真は、頂いて打ち上げで 飲んだ珍しいと言われている焼酎“赤霧島”の4合瓶。 2月21日(日)は、久留米にある山口酒造さんの、新酒蔵出しイヴェントで演奏。酒造の山 口令子さん(パッチワークー・キルトでもかなり著名な方)と、天草の蔵々窯の陶芸家=許斐 良助さんの主催で、新酒、食事がふるまわれ、酒造の古い日本家屋をステージに演奏する という贅沢な趣向だった。 ギター弾き語りのCobyさん、ディジリドゥ・口琴の牛島大智 君、それに私のジョイントで、Cobyさんのバックで私はギターも弾いたり、口琴と琵琶の デュオ、3人での演奏なども。この組み合わせで演奏するのは初めて(Cobyさんとは何回か 共演あり)だったが、場の雰囲気もぴったりハマり音楽的収穫もある、気持ちの良い演奏だ った。声、楽器のヴァイブレイションに共通項があると、力は抜けつつも高揚感のある空 間が出 来る。お酒も美味しく天気も良く、ツアーの疲れを癒すには最適の現場だった。
尺八の小濱君とのツアー、最近は毎年1〜3月あたりにやることが多くなってきた。今 年は2月半ばになり、東京=国境の南(渋谷区・6日)、和歌山=小野町デパート(和歌山市・ 11日)、京都=四条京町屋(京都市・12日)、熊本=私的公民館“やましろ”、ヤズー(熊 本市・13日、15日)、そしてスペシャル・ライヴとしてクラブ・一鴻(熊本市・16日) 、という流れ。途中、将棋・囲碁関係のパーティーで演奏(東京・9日) もあり、なかなか 密なスケジュールだった。 写真をご覧頂くとおわかりかと思うが、会場も古い建物を保 存してギャラリー/アクースティックのライヴ用に改造した場所、ステージ完備の個人宅、 音楽バー、和服・スーツの女性がいらっしゃるクラブとさまざまだった。私たち演奏する 側も場所それぞれの良さを充分感じ取れたし、各会場、盛況でCDの売れ行きも好調だった のは感謝・感謝と言うしかない。お客様、公演を引き受けて頂いた責任者 の方々、ほんとうにありがとうございました。 演奏は、新曲を少しずつ練れていったの は良かったし、これまでのレパートリーもずいぶんニュアンスの幅が広がったのではと思 う。ヤズーでは何回も聞いて頂いているお客様も多かったので、琵琶は「木曽最期」(尺八 ときっちりやれたのは収穫)、尺八は「産安」の古曲を交え、最後は私の熊本トリオとのセ ッションも敢行。ローカル・バンドのトリオがさらに怪しくなり(笑)楽しい時間だった。 和歌山では、主催者の西田さんが持っておられる古い筑前琵琶(かなり小振りで盲僧琵琶の それに近い)を「般若心経」で使わせて頂く。おかげさまで楽器の解説もしやすかったし、 構成にメリハリもついた。 次回のツアーはまだ未定だが、5月、11月に九州でデュオ の演奏機会があるのでまた考えたい(写真は順に、和歌山2枚、京都1枚、私的公民館“や ましろ”1枚、ヤズー2枚、一鴻2枚、です)。
1月8日(金)19時30分〜55 分、NHKテレビ『くまもとの“風”〜玄海竜二発見伝』に出演させて頂いた。 『くまもとの“風”』は毎週、ドキュメンタリーの他、熊本にかんするさまざまな番 組を放送している。「玄海竜二発見伝」はその中の一つで、熊本出身の大衆演劇の重鎮・ 玄海竜二さん、熊本で活躍されているタレントの英太郎さん、キャスターの藤井未莉佳さ んがレギュラー。毎回、熊本出身のさまざまなジャンルの方がゲスト出演する。 テレビはかなり昔、ARAFA時代に『われら新音楽人』、個人でBSのワールド・ミュージック系情 報番組(ともにNHK)、地元KKTの情報番組(『恋して眠れ』の八千代座での録音風景で)に出 演したことがあり楽しかったが、今回はまるまる25分、フィーチャーして 頂くということで有り難いし、少し緊張。 フリー・トークは“琵琶 が伝える闇の世界”のテーマで、琵琶の、異界のざわめきやそのアナーキーな力をこの世 に媒介する役割について話す。以前は、琵琶は暗いイメージが強いのでそれを払拭した新 たな感覚を、みたいな切り口を迫られることが多かったが、最近は少し傾向が変わって来 たようだ。これは個人的には嬉しい。もちろん、新たな感覚、的なことも実際に演奏して いるが実は琵琶の場合、これさえも異界への入口だったりする。レギュラーのお三方のお かげで、難しくなりがちな話しも無事わかりやすく、楽しく進めることが出来た。 演奏は平家物語の“祇園精舎”と“壇ノ浦”の部分を短くまとめた曲と、「五木の子 守歌」 の短いヴァージョンの2曲。「五木〜」 は玄海竜二さんとのコラボで、玄海さん の舞、衣装の異形性で世界が何倍も広がり感謝・感謝。演奏の長さは、平家物語はやや長 いかな、と収録時には思えたがオン・エアを見たら映像の演出効果のおかげでさほ ど気にならなく一安心。 幼い頃、詩吟を母親に習ったこと、高校時代ギターでバンド 活動ばかりやったこと、琵琶を始めるキッカケ、さらに演奏家になってからのさまざまな コラボ活動も写真やVを交えて紹介して頂いた。根こそぎ拾って(?、他局ドラマの決めゼ リフでスンマセン)簡潔にまとめて頂いた感じでこちらも感謝・感謝だった。 また、ユニークだったのは中華料理のシェフ、森田真二さんによる“餃子ドラマティッ ク”のコーナー。ゲストのイメージに合わせ森田さんが創作餃子を製作。今回のタイトル は“闇夜の月明かり”で、琵琶が持つ複雑な要素、私の好きな鯖の塩焼き、などが上手く 小さい餃子の中に集約されていてびっくり。私も必要に迫られてだが料理はするし、食べ る、ということはとても大事なコミュニケイションだと思っているので楽しい企画だった。 番組スタッフの皆様、番組を御覧頂いた方々、ありがとうございました。可能であれ ば、収録の様子などアップ出来ればと思います。 |