谷博のこと
assomusee means the museum to associate the people.
this page's last update: Mar/20/2008
阿蘇たにびと博物館は、阿蘇の自然や文化を研究し、阿蘇全体を博物館として普及教育する
機関です。
Aso Tanibito Ecomuseum is an institute to research and guide nature and culture of Aso, Japan.
阿蘇の魅力
阿蘇の魅力と聞かれれば、それはまず何よりもその「でかさ」だ。もう、何もかもがでかい。巨大なカルデラ、
モウモウと噴煙を上げる中岳、見渡す限りの草原、のんびりと草を食む牛馬たち・・。ここは本当に日本か?と呆れてしまうほどのでかさ、
人間なんてちっぽけな存在なんだと思ってしまうでかさがまず何よりの魅力だ。
そしてそのでかさが、実はそのちっぽけな人間たちによって維持されているという事実!そこにこそ阿蘇の凄さ、
また素晴らしさがある。この偉大な草原も、そこにすむ牛馬も、貴重な大陸性の動植物も、みなこの人間と自然の
闘いのなかで生き遺ってきたものなのである(これほど「文化」が考察できる国立公園は他にあるまい)。
しかしその立役者であるはずの阿蘇の人びとへの理解は、必ずしも充分ではない。阿蘇を訪れた人たちは、まずその雄大な
景観に驚く。そしてそこにはべる牛馬の群れに心を癒される。しかしその牛馬たちを、歯を食いしばって支えている地元の人たち
の姿は、ほとんど目に映らない。
ならばそういう状況に対して博物館は何ができるのか?―こうして当館は模索された。この巨大な谷に生きる人びとの存在を
きちんと受けとめ、共に喜び、苦しみ、それを多くの人びとに伝えてつなげていくこと、それが当館の使命だ。私たちの博物館は、
ただ古い物を並べる倉庫ではない。モノよりもヒト、そして暮らしという無形の文化をどう「展示」することができるのか、
それをひたすら追求する進行形の地元博物館だ。
館長のつぶやき
これまで阿蘇の人間がどう生きてきたか、それを調べることは、これから阿蘇で生きていく我々にとって絶対必要だ。
それを調べ、記録し、伝える博物館は本当に必要と思う。しかし悲しいことに博物館というとすぐ「倉庫」とみなされて
理解してもらえない。ならば、誰かがとにかくやってみることだ。やってみれば、言いたいことが分かってもらえるかもしれない。
だから、とにかくやろう。そしてここを後進たちが受け継いでいけるよう、ここをきちんと喰えるような事業体にしていこう。
どうか皆さんのご支援を請う。
谷博のしくみ
阿蘇たにびと博物館は、阿蘇谷・南郷谷に生きる「谷人」たちの生きざまを研究し、それをつなげていく博物館です。
普通の博物館には、大きな建物があり、たくさんの資料が展示ケースの中に並んでいるかと思いますが、当館は少し違います。
建物はハコではなく「地域全体」であり、展示はモノではなく「そこに生きる人と暮らし」です。
つまり博物館の「来館者」は、一般の博物館で展示室を歩くようにフィールドをさるきます。一般の博物館で
資料を知るように地域の人や暮らしを知ります。そうした人と人との出逢いを博物館がアソシエートする(associate、
つなげる)わけです。
同時に、学芸員はこうした地域の自然や、人びとの文化を調べていきます。この地域の自然や文化の何が大切なのか、
何をのこしていきたいのかを、地元の人々と話し合いながら考えていきます。
この博物館は、地域で懸命に生きる人びとと、そうした住民たちがつくってきた自然的・文化的環境を研究し、その関わりを
さるきながら人びとに伝え、地域をよりよく知ってもらうことで人間らしい心で人と人をつなぎ、地域に生きる住民たちにも刺戟を与え、
お互いの活力とすることができないかという博物館的試みです。地域を壊さず、ありのままの地元を大事にするツーリズムの形
としても期待しています。
●
当館のような博物館を日本で何と呼べばいいのか、正直難しいです。いわゆる「エコミュージアム」と思っていますが、
しかし海外ではともかく、日本では「エコミュージアム」は博物館でありません(学芸員もいませんし、調査研究・収集保存・
教育普及のいずれも不充分だからです)。やはり「博物館」であるという原点に戻りましたが、ただ海外からはecomuseumで
検索されるため、英語名にはエコミュージアムを残しました。
ちなみに、2000年頃には「アソミュゼ」とも名乗っていました。エコミュゼの発展形であり、人と人を
アソシエートするミュージアムという意味です。北九州大の人類学者・竹川大介先生にも「博物館の訪問者とそこで展示されるものとの
関係をアソシエートするミュージアム」と評して頂きました(こちらです。ありがとうございます)。日本の中では博物館仲間がいなくて寂しいので、今後は海外に目を向けていきたいと
思っています。
●
よく尋ねられるので、うちの経歴をまとめてみました(随時更新中)。
学芸員Q&A
1. 学芸員の仕事とは
●Q 学芸員って、何ですか?
A 一言でいえば、博物館の先生です。資格でいえば学校の先生が「教員」、博物館が「学芸員」です。
ちなみに、博物館も美術館も動物園も水族館もぜーんぶ!この国の博物館法では「博物館」ですから、それらの先生は全員
「学芸員」ということになります。
●Q 具体的には、何をしてるんですか?
A 当館では、阿蘇の草原に生きる人びとの暮らしを調べ(調査研究)、それを伝え(普及教育)、
守る(収集保全)仕事をしています。調べた結果を本にして出したり、企画展示や現地ガイドをしたり、地元の人を紹介したり、
資料を集めたり、講演したり、授業したり、会議やシンポジウムに出たりなどしています。
2. 学芸員に仕事を頼むには
●Q 阿蘇の現場を案内して欲しいのですが。
A 阿蘇の人びとの暮らしと自然との関わりが分かるような興味深いコース(阿蘇さるく)を
ご案内しています。
きっと知らなかった阿蘇の“からくり”に驚くと思いますよ。
●Q 阿蘇に実際に生きる人びとにお会いしたり、できればお仕事の体験などしたいのですが。
A ご希望の谷人さんたちをご紹介できます(谷人ツーリズム)。阿蘇の人びとは優しいし
面白いですよ!ぜひお会いして下さい。受入れ人のご都合も
ありますので、内容や時間など詳細をお知らせ下さい。
●Q 阿蘇のことを教えて欲しいです。
A 阿蘇の人びとの文化と自然との関わりについて、楽しくお話したり、授業したり、
ワークショップや会議に参加したりできます。専門を持った学芸員ならではの、真面目かつ面白い授業をご期待下さい。
●Q 自分たちの地域のことも調べて欲しいです。
A 地域の人びとの暮らし(民俗)について専門的に調査し、報告書を提出することができます。
また、その結果を踏まえてこれからのありかたについて助言したりすることもできます。ぜひ声をお掛け下さい。
3. 学芸員になるには
●Q 自分も学芸員として仕事したいです。
A 学芸員は国家資格です。まず専門を身につけて、資格を取りましょう。厳しい道ですがぜひ取得して、
共に頑張りましょう。
●Q 資格は取ったのですが、就職先がありません。
A 学芸員としての腕さえあれば、自立の道もあります。むしろ世界の博物館は民間が中心
ですし、日本の文化行政は今後ますます縮小の一途をたどるものと思われます(指定管理者制度)。要は才能とやる気、
そして地域に対する情熱です。
●Q 自分も谷博のような博物館を地域に作りたいです。
A 当館のような博物館を目指すなら、まずフランスのエコミュゼの歴史とその問題点を
勉強されて下さい。
それから、民俗学の知識と経験は必要です。あとは人間が好きならば何とかなるでしょう!できればマネージメントに興味のある
仲間を見つけられるといいと思います。起業の際は何かと不安なものです。ぜひ全国で連携して頑張りましょう!
(参考)資金はどうして運営されているのかのご案内はこちら、
博物館による社学融合への取り組みはこちらにご紹介しておきましたので、
関心のある方はそれぞれご覧下さい。
最後に、当館の大きなテーマは「草原と人間」に設定しています。谷人たちの調査研究を通して、将来的には中国や韓国といった
主に東アジア圏の草原文化との比較研究および連携を目指しています。
|
|